2019年03月15日(金)
- コラム
- 親子問題
毒親育ちのパートナーさんの悩み
今日は、普段ご本人たちの陰に隠れてしまいがちな、「毒親育ちのパートナーさん」の悩みについて考えたいと思います。
★毒親育ちのパートナーさんとは★
交際相手や配偶者が毒親育ちである方のことです。
毒親育ちもたくさん悩んでいますが、実はそのパートナーも大変に辛い状況にあります。
実際、クロリスには多くの方がご夫婦やカップルでご相談にいらっしゃいます。
大きく分けて、パートナーの立場の方々には二つの点で大変な問題があると分析しています。
一つは、交際相手や配偶者が毒親育ちであると、安定した関係を構築するのに時間がかかったり、構築することに苦労する場合があるという点。
もう一つは、毒親育ちの人のパートナーとして、その問題に巻き込まれ、当事者としての悩みを持つことがあるという点。
一つずつ掘り下げてみましょう。
★毒親育ちが一番苦労するパートナーとの関係★
毒親育ち、つまり機能不全家庭で育つと、小さいころから人間関係の基本的なことを学ぶ機会が圧倒的に奪われてしまいます。
そのため、人に対する基本的な信頼感や人との適切な距離感がよくわからないまま大人になることも多いです。
皆さん人一倍、誰かと親密な関係を築きたいという気持ちを持っているのですが、そのちょうどよいやり方がよくわからず、相手を試したり、相手に依存しすぎたりします。ご本人たちも相当苦悩しています。
毒親育ちのパートナーさんたちは、パートナーになる過程で、あるいは関係をより親密にしていく過程で、真っ先にご本人たちから試されたり、依存される対象となります。
パートナーさんの立場からすれば、相手の不安定な感情や態度に振り回され、時には付き合い切れないと思ってしまうこともあるでしょう。相手のことを責めたくなることもあるでしょう。
これらは当然のことです。パートナーさん自身も、自分の心を守るため、自分の置かれている状況を見極めると同時に、つらい気持ちを受け入れることが重要ではないかと思います。
★当事者として機能不全家庭の問題に巻き込まれる★
また、毒親育ちのパートナーさんは、別のところでも問題に直面します。
相手の育った機能不全家庭の問題に巻き込まれるのです。
特に、毒親育ちの方が毒親育ちを克服していこうとする過程では、必ず親と物理的・心理的な距離をとることが必要ですが、その過程で、親は子どもを支配できなくなったと感じます。
そして、支配する対象がなくなった怒りが、パートナーさんの方に向きます。
パートナーさんが洗脳したせいだとか、パートナーさんが財産を狙っているとか、根拠がないにも関わらず、そのようなことを言い出すケースが非常に多いです。
そして、いつの間にか自分も渦中の人になってしまい、根拠のない訴訟提起をされたり、職場に乗り込まれたり…といった事態になってしまいます。
愛する人の実親だから、兄弟だから…という気持ちで間に入ろうと尽力される方が多いのですが、残念ながら毒親の場合にはそれが通じません…
毅然とした態度をとることが大切です。
★大変だけど、毒親育ちにとって一番頼りにしているのがパートナーさん★
このような大変な立場に置かれている毒親育ちのパートナーさんたちですが、やはり毒親育ち本人が残りの人生を生き直す時に一番頼りにしているのがパートナーさんです。
もちろん、自分が支えないと誰も相手の面倒を見なくなる…自分でないとダメ…という思考は、時に共依存をもたらす危険な考え方ではありますので、注意する必要はあります。
しかし、一方で、人間、大変な状況を乗り越えるにはその原動力が必要です。
相手の不安定な感情に巻き込まれて辛くなった時や、相手の育った家庭の問題に巻き込まれて心が折れそうな時、毒親育ちのパートナーさんには、相手が一番頼りにしてくれているのは自分、という気持ちをもって少しでも励みにしていただきたいと思います。
今日はいつもとは視点を変えて、毒親育ちのパートナーさんの立場を考察してみました。
少し毒親育ちご本人にとっては厳しい表現もあったかもしれません。
大変なことがあると、ついつい人間、自分の方がつらい!と思いがちですが、大切な人との関係においては、お互いを思いやりいたわりあって成長していける関係であるといいですね。
私は、毒親育ちの方々が、大切な人たちと心の通い合う関係を築き、安心した毎日を送れるようになることを心から願っています。そのためにはパートナーさんたちの協力も不可欠です。私は、パートナーさんたちを応援しています。
いつか晴れると信じて一緒に頑張っていきましょう。