2019年10月03日(木)
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機能不全家族で育ったあなたへ:第1回安らげる場所ありますか?
~プロローグ~
皆様、こんにちは。いつもありがとうございます。吉田美希でございます。
これから全10回で、機能不全家族で育った方へ向けたコラムを連載します。
なお、機能不全家族というのは、わかりやすくおおざっぱに表現すると、毒親が支配している家庭です。
私は年間に100人前後の機能不全家族で育った方からのご相談を受けています。
普段の法律相談の場では、皆様がお話くださる生の事実関係を法的問題とそうではない問題に切り分けて、それを既存の法制度の中でどのような手段に落とし込むかというところをお話することが時間的に精いっぱいです。
ただ、皆様とお話していると、個々の置かれている立場や状況は違うものの、共通して悩んでいらっしゃることがあると感じており、それはやはり機能不全家族で育った方特有の悩み事であると感じています。
そこで、法律相談の機会ではお伝えしきれない、私の考えや皆様への想いを、わかりやすくするために私個人の経験も交えながら、皆様の日々の生活に役立ててもらえるような形でお伝えしたいと思い、まずは10回という形で書いてみることにしました。
お付き合いいただければ幸いです。
今日は第1回目 ~安らげる場所、ありますか?~
★「安らげる場所」、ありますか?★
突然ですが、皆様は、安らげる場所はありますでしょうか。
ちなみに、安らぐとは、辞書でひくと、おだやかな気持ちになる という意味です。
ですから、安らげる場所というのは、気持ちがおだやかでいられる場所ということ。リラックスしている状態でいられる場所、と表現した方がわかりやすいかもしれません。
言葉としては簡単な言葉ですが、どうでしょう。皆様、この言葉、実感がわきますでしょうか。
長年、極度の緊張状態の中で生きてきて、常に他人の顔色をうかがうくせがついてしまって、心には不安や心配がいつもうずまいている…今そのような状況に悩んでいる方にとっては、「安らげる場所」はないのではないでしょうか。
周りに愛情をもって守られ、安全な場所で生活することができるはずの子ども時代、親の暴力や暴言、脅しにおびえながら生活していたら、いつのまにか緊張していることが当たり前になり、安らぎを知らないまま大人にならざるを得ません。
私自身、つい数年前まで安らぎ、リラックスとは程遠いところにいました。
安らぐという言葉が腑に落ちるようになった今振り返ると、まるで私は手や足に自分の体重よりもずっと重量のある重りをつけて生活しているようなものでした。
★「安らげる場所」は、大切な自分を育てるための土壌★
人は、どのような生き方を選んだとしても、生きていく上で頑張らないといけないときは必ずあります。でも、いつも緊張状態にあって、いつも頑張らないといけない状況が続いていたら、息切れを起こして、最後まで頑張ることはできません。
当然ですが、いつも緊張状態にあれば、必ず心身に不調もきたします。心と体はつながっていますから、どちらかが不調になれば、だんだん自分を信じることができなくなります。そして、焦って、より不調をきたして、結果も思うように出せなくて、そんな自分を責めてますます自信を失う…という悪循環に陥ったという経験は皆さんにもあるのではないでしょうか。
反対に、心身ともに調子がよくリラックスできているとき、自分の本来の力が出せたり、よいアイデアを思いついて困難を乗り越えることができます。また、仮に失敗をしても、冷静に受け止めて落ち込み過ぎずに再出発することができたりします。
「安らげる場所」は、私たちが生きる上で大切な、心身の健康や、自尊心を養うための土壌なのです。
★一緒に「安らげる場所」を獲得し、維持発展させてゆきましょう★
機能不全家族で育った皆様は、それぞれ事情は異なりますが、自分に「安らげる場所」がなかったと気づいたとき、皆様とても一生懸命努力して、ご自身の「安らげる場所」を創ろうと努力なさっています。
幼いころから過酷な状況の中で努力し続けてきた上に、大人になると、言い訳もせず、一生懸命働き、対人関係でも気を使って社会的な自分の居場所を築いたり、ご自身の家庭をつくったりしていらっしゃいます。
しかし、それを放っておいてくれない人たちがいます。本来であれば喜ぶべき、自分の子どもの自立や幸せを、自分たち家族から「抜け駆けした」としかとらえない人たちがいます。
それは、皆様が育った機能不全家族のメンバーです。特に、放っておかないのは、家族の中で強い立場にあった人、つまり、親です。また、年上の兄弟姉妹や、親の「愛玩子」である兄弟姉妹が、親と一緒になって攻撃してくるパターンも多いです。
彼らは、支配の対象がいなくなることで、家族のバランスが崩れることを嫌います。誰かの犠牲の上に成り立つ家族のバランスなど、一度壊した方がいいにもかかわらず…
時には泣きつき、罪悪感を植え付けてきます。あなたって薄情とか、あなたのためにこれまですべて犠牲にしてきたのに、という言葉を浴びせられた方は多いでしょう。自殺してやると脅されたこともあるでしょう。言葉上は謝罪をしてきても、許しを強要し、許してもらえないとわかると逆切れされたこともあるでしょう。
また、勤務先に連絡をしたり、交際相手やパートナーに連絡をして、追い詰めてくる場合もあります。さらには自宅に侵入しようとしたり、身の危険を感じるような頻度と内容のメールや電話をよこしたり。書ききれませんが、あげ始めればきりがないほど、ありとあらゆる手段を使って、今のあなたの平穏な生活を脅かそうとしてくるはずです。
このような状況を前に、自分が悪いのだろうか、自分さえ我慢すれば…という気持ちになってしまうのは当然のことです。何せ、一緒に立ち向かってくれる人も最初はいないのが普通です。一人で立ち向かい続けることは難しいでしょう。
でも、あと一歩、あと少し、一緒に頑張りましょう。
あなたはひとりではありません。
あなたが自分の「安らげる場所」を獲得しようとしていることは、決して自分勝手なことではありません。
あなたが、「安らげる場所」を獲得し、それを維持発展させていくことで、豊かな人生を送ることができるように、最善の方法を一緒に探りましょう。
私はいつも、こういう想いで、皆様のご相談やご依頼に対応しています。
具体的な対応策についてはまた別の記事でご紹介します。
「安らぎ」という言葉を起点に、機能不全家族で育った方が置かれている状況や問題について考察してみました。
次回は、第2回:気づかない方が幸せだった?と題し、自分が機能不全家族で育った気づいた直後に襲ってくる喪失感、罪悪感、怒り、孤独感等についてご説明し、第3回以降につなげていきたいと思います。
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