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2020年03月18日(水)

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機能不全家庭で育ったあなたへ:第3回その喪失感の正体は?

皆様、こんにちは。吉田美希でございます。

 

この連載は、機能不全家族で育ったと自覚している方々へ向け、普段の法律相談では話しきれない私の考えや想いを、私自身の経験を交えながらお伝えしていくシリーズです。

 

今日は第3回目 ~その喪失感の正体は?~

 

★人生半ばにして味わうとてつもない喪失感★

第2回において、自分が機能不全家族で育ったことを自覚すると、今度は喪失感が襲ってくるという話をしました。

 

何を喪失したのでしょう。

 

一つは、自分の時間です。時間は不可逆です。人生は決して戻りません。自分らしく安らいで生きることができなかった時間の長さを考えると、自分の大切な人生を失ったような気持ちに襲われます。

 

気づいた時から立て直していけるとしても、気づいた時点では、気づいていなかった頃の、機能不全家族の呪縛に苦しんできた時間の方が圧倒的に長いのです。これまでの自分の人生が何だったのか、という空しい気持ちでいっぱいになるでしょう。

 

他には、親との依存関係から脱却するにあたっての喪失感です。苦しい思いをしてきたとはいえ、もともとその苦しい気持ちをもつに至ったのは、親のことが好きであり、その親に愛されたいと思ってきたからです。そういう自分がずっと追い求めてきた親は自分にはいないという事実や、長い間追い求めてきたけれども親の愛情をついに得られなかったという事実は、とてつもない喪失感を生み出します。

 

心にぽっかりと大きな穴が開いたような状態になります。

 

 

★喪失感との向き合い方★

 

まずは嘆きましょう。何かを喪失するということはとてもつらい体験です。それをなかったことにしようとすると、心が回復することができません。

 

大好きな人にフラれてしまったときや、絶対合格したかった試験に合格できなかったときなど、誰もが大人になる過程で、失う体験をしてきたと思います。人生はいつも思い通りになるものではありません。

 

これまであなたが失う体験をしたときを振り返ってみてください。思いきり泣いたり、数日間部屋に閉じこもったりして、一度思いっきり自分が失ったことと向き合うと、数日後数週間後、すくっと立ち上がることができたという経験はありませんでしたでしょうか。

 

子ども時代を失ったということは、こういったどの喪失体験よりも大きな喪失かもしれません。恋愛はまたできるし、試験や昇進も再チャレンジできます。でも、子ども時代は取り戻せないからです。

 

ですから、大人の自分が嘆くことが恥ずかしい等と思わずに、自分が一番すっきりする方法でたくさん嘆きましょう。自分の喪失感を自分がやさしく受け止めてあげることで、自分の感情の行き場を失わずにすみます。

 

あまりにつらくて一人で嘆く作業をすることは到底できないと判断したら、安全が確保できる信頼できる人の助力を得ながら、嘆くのも有効です。

 

★喪失感と向き合ったその先に★

 

アダルトチルドレン概念の産みの親とされているクラウディア・ブラック(アメリカのソーシャルワーカー・社会心理学博士)は、アダルトチルドレンからの回復ステップを次のような4段階で説明しています。

 

ステップ1:過去の喪失を探る

ステップ2:過去と現在をつなげる

ステップ3:取り込んだ信念に挑む

ステップ4:新しいスキルを学ぶ

 

各ステップについての説明は別の機会に譲りますが、このうちの出発点であるステップ1はまさに自分が喪失したものと向き合う作業です。

 

これまで、大人になってから子ども時代のことを語るのは恥ずかしいと感じてきたかもしれません。しかし、それは、体験したこともない人が無責任に言っている、あるいは自分の過去や感情と向き合う勇気のない人たちが嫉妬で言っている言葉にすぎません。

 

むしろ、過去を繰り返し語ることで、子ども時代の家族の中にあった問題や、自分の中での喪失に気づき、自分が気付かぬうちにためてきた感情を解放することは、あなたの回復のための欠かせない一歩となります。

 

ここで意識していただきたいのは、過去の喪失を嘆くことは、あくまでも親を責めることではなく、自分のための作業ということです。あなたの人生は続いていきます。もう全部放棄してしまいたいと思っても、あなたの人生を生きるのはあなた自身です。あなたを傷つけてきたり、あなたを過保護な環境においてきた親が代わってくれるものではありませんし、あなたはもう親に人生を代わってほしくもないはずです。

 

自分の手に自分の人生を取り戻すために、まずは思いっきり悲しみましょう。自分が、「大人」でも「男性」でも「母親」でも「社会人」でも関係ありません。悲しみは皆同じですから、悲しいときは思いっきり悲しみましょう。

 

以上、~第3回:~その喪失感の正体は?~でした。弊所の法律相談では、相談者様の嘆きにも配慮しながら進めてまいりますので、安心して相談を受けていただくことができます。他の相談先の対応で傷ついた経験をされた方々でも大丈夫です。前に進んでいける力を一緒に蓄えていきましょう。

 

次回は、機能不全家庭で育った方が喪失感と同時に感じがちな罪悪感にスポットを当てたいと思います。

 

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