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2018年04月16日(月)

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  • 離婚事件

別居中の妻もしくは夫が子供に会わせてくれない時の対処法

離婚のご相談を受けていると、お子さんのいらっしゃる方の場合、別居に際して妻もしくは夫が子どもを連れていき、それ以降、子どもと会わせてもらえないというケースをよく耳にします。

経緯は人それぞれかと思いますが、いずれにせよ、愛情を注いで育ててきた子どもと引き離されるということはとてもつらいことだと思います。

そのような場合の対処法としては、やはり相手と交渉して子どもと会わせてもらえるようにする、交渉での解決が難しければ次のステップとしては面会交流調停を申し立てて会わせてもらえるようにする、という方法が挙げられます。

相手は何かしら理由をつけては会わせないようにしてくると思いますが、相手と交渉する際には、2つのポイントがあります。

◆ポイント①◆

法律上、親子である以上は面会交流権があることを相手に理解してもらうこと。

◆ポイント②◆

なぜそこまで子どもに会わせたくないのか、その理由を探ることです。

別居中となればどちらも容易にできることではありませんが、最終的には面会交流調停を申し立てるという選択肢も残されているため、あまり感情的にならないよう冷静に対処することを心がけるとよいでしょう。

別居している方はすでに離婚の話が出ているケースがほとんどかと思います。その後の離婚協議や離婚調停において自らが不利になることがないよう、離婚のことも見据えたうえでの対応をとっていきましょう。

step1.面会交流権を相手に理解してもらう

まず、相手が一方的に子どもに会わせることを拒否している場合、面会交流権についての正しい理解がない可能性も非常に高いです。

面会交流権とは、夫婦は離婚する場合の未成年の子の親権者ではない方の親、又は夫婦が別居している場合の子の監護者ではない方の親(子どもの監護をしていない方の親)が、子と面会その他の方法で親子としての交流を図る権利のことです。面会以外の方法ですと、電話やメール、手紙等で交流を図るケースがあります。

離婚後のみならず、夫婦が別居している場合でも面会交流権があります。

判例においても、「父母の婚姻中は、父母が共同して親権を行い、親権者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うものであり(民法818条3項、820条)、婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉することは、子の監護の一内容であるということができる。」といわれています。

まず、このことを正しく理解してもらいましょう。

離婚条件の一つとして、離婚後の面会交流について定めることは多いですが、離婚前の別居に際して面会交流について定めることはほとんどありません。そもそも夫婦として話し合いができないからこそ別居に至っているわけですから、当然のことともいえますが、当事者は離婚問題で頭がいっぱいになるばかりで、子どもの気持ちのことまで配慮しきれていないということも背景にあるのではないでしょうか。

そもそも面会交流権というのは、色々な考え方があるものの、親のためだけにある権利ではなく、子どものための権利でもあるという考え方が一般です。

子ども自身も一緒に暮らしていない方の親と面会交流する権利を持っているのです。面会交流することが子どもの不利益にならない限りは、面会交流することが子どもが健全な成長発達を遂げるために必要不可欠といっても過言ではありません。

両親の離婚は子どもの責任ではありません。しかしながら、ほとんどの子どもたちは、親の喧嘩や別居、離婚を目の当たりにすると、自分が悪い子だからだ…と自分を責めてしまうことが多いのです。面会交流は特に子どもにとっても自分自身に関する問題であるという意識もあります。そのような中、面会交流のことで両親が喧嘩していたら、子どもは自分をよりいっそう責めてしまうでしょう。

夫と妻という立場での協力関係は築けない状況であるとしても、親として、父親と母親という立場での協力関係を築くことはできないのか、子どものために今一度冷静に考えてみる必要があります。

定期的な面会を実現させるのは子どものために親としてしなければならない努力であるということを、会わせないと主張している相手には理解してもらう必要があるでしょう。

step2.子どもに会わせたくない理由を探る

次に、なぜ相手が子どもに会わせたくないのか?その理由を探るというのは非常に重要です。

上述のとおり、面会交流権は、子どものための権利でもありますが、当の子ども本人が会いたくないと言っている可能性もあるからです。

子どもは、理由なく会いたくないとは言わないでしょう。

まずは、今までのご自身の行動の中に、子どもの負担になってしまうことがなかったかどうか、何か思い当たるのであれば、まずはそれを反省していることを子どもに伝えることから始めることが賢明です。子どもはとてもセンシティブですし、何より親の愛情を欲しています。そのため、ご自身にとっては少し叱っただけとか、一度たたいてしまっただけとか、そういった軽いことだという認識であっても、子どもはそのことでとても傷ついている可能性があります。よくいじめられた方はよく覚えているが、いじめた方は忘れているといいますが、それと似たようなことが多くの親子の間でも起こっていることを認識し、子どもに対して人として誠実に向き合ってみましょう。また、別居前、夫婦喧嘩の際に暴言を吐いたり暴力をふるったことがあるようでしたら、子どもはそのシーンを覚えていて恐怖心を抱いているのかもしれません。思い当たることがないか、夫婦間での出来事にまでさかのぼって考えてみる必要があります。

面会交流は、あくまでも子の福祉(利益)にかなう場合に認められるものです。ご自身の会いたいという気持ちだけでなく、子どもの気持ちをきちんと理解してあげることが必要です。

もっとも、子どもは親の庇護がなければ生きていけませんから、一緒に生活している方の親の機嫌にとても敏感です。そのため、一緒に生活している方の親が、もう片方の親の悪口を日頃から言っていたり、会わせたくないということを言っている場合には、自らの気持ちに嘘をついたり、無意識で気持ちを封じ込めて、お父さんとなんか会いたくない!等といっている場合もあります。

そのような場合、子どもの本心を聞くことができれば一番良いのですが、別居中は難しいことが多いでしょう。弁護士に介入してもらうか、第三者的立場のカウンセラーや医師等に子どもの真意を聞いてもらうという方法も考えられます。

いずれにせよ、なぜ子どもを会わせたくないと主張しているのか、その理由を探ることはその後の対応を考える上でもとても重要です。

step3.面会交流調停を申し立てる

相手に面会交流権について理解をしてもらえない、なぜ子どもに会わせてくれないのか理由がわからない、いくら話し合いをしても先に進まない、こういった場合は家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てるのが良いでしょう。

面会交流調停では、離婚調停等と同様、裁判所から選任された調停委員(男女1名ずつの2名)が話し合いを仕切っていきます。調停も話し合いではありますが、裁判所での話し合いであり、しかも調停委員という第三者の目が加わることにより、当事者同士で話し合いをするよりもお互いに冷静になることもでき、スムーズな展開が期待されます。

また、子どもを会わせることについての当事者同士の意見が大きく食い違っていたり、子どもが会いたくないと言っているもののその真意がわからない場合等には、ほとんどのケースで家庭裁判所調査官による調査が実施されます。家庭裁判所調査官は、子どもの心理についての専門家で、当該ケースにおいて子どもの福祉(利益)にかなう面会交流はいかなる方法が考えられるのか、調査報告書という形で意見を出します。調査の過程では、双方の親とも面談をしたり、子どもの年齢によっては実際に監護している家庭訪問をして子どもの様子を見たりします。また、子ども本人とも、年齢に応じた方法で面談をします。

調査の過程で必要な場合には、試行的面会交流が実施されることもあります。試行的面会交流というのは、まずは面会を実施してみて、子どもの様子を観察してみるという方法です。なお、監護している親が強く拒む場合に、強制的に実現することまではできません。

いずれにせよ、当事者間で話し合うだけでは埒が明かない場合、家庭裁判所の調停を利用することは有効な手段といえます。

もっとも、面会交流調停はあくまでも話し合いですから、当事者間で合意ができなければ調停は成立しません。そのような場合、面会交流調停は、自動的に審判手続に移行します。審判においては、裁判官が面会交流を認めるか否か、認めるとしてどのような頻度や方法をとるのかを判断します。その際、裁判官は当事者の主張立証を踏まえた上で判断しますので、面会交流を認めてほしい側としては、認めてもらうために有益な事実を主張立証していく必要があります。

面会交流の判断基準は、子どもの福祉にかなうか否かという点です。それを判断するために、子どもに関する要素(意思、年齢、心身への影響、生活への影響)、監護親に関する要素(意思、養育への影響、生活状況)、非監護親に関する要素、監護親と非監護親との関係等、さまざまな事情を総合的に考慮します。認めてもらいたい側としては、面会交流を認めることがいかに子どもにとって利益になるのか、という点を主張立証していくことになります。

調停が不成立になった場合であっても、最終的に裁判所に審判という形で結論を出してもらえるので、当事者間の話し合いがスムーズに進まない場合は、調停を申し立てることが解決への近道となるでしょう。

★弁護士に交渉してもらう方法もある

その他にも、弁護士に自身の代理人として直接相手と交渉してもらうという方法もあります。

調停となると話し合いの時間も限られ、また日時の指定もあることから、ある程度の拘束を避けることはできませんが、弁護士に代理人になってもらうのであれば、こうした拘束を強いられることはありません。

また、調停を起こす場合であっても、弁護士を代理人としてたてれば、調査官調査等手続きのことを随時確認しながら進めたり、調査官調査に向けて一緒に対応策を考えたりしながら進めることができます。上述のとおり、最終的に審判が下される場合は、当事者の主張立証を踏まえて裁判官が判断しますから、どういった主張立証をすべきなのかという点について弁護士に依頼すると安心という面もあるでしょう。

調停や審判は回避したいという相手もいるため、交渉段階で調停や審判になった場合に予測されることを相手に説明することで説得することができるかもしれません。そのような場合も、手続きに精通した弁護士が代理人としてついている方が心強いかと思います。

・面会交流は子どもの人生にとって一大事

当事者の方にとって、別居や離婚ということだけで十分負担が大きいにも関わらず、そのような中、子どもの気持ちや利益まで考える余裕はないというのも実情でしょう。しかし、上述したとおり、子どもの成長発達において、面会交流はとても重要です。万一残念な結論に終わったとしても、一緒に住んでいない方の親があきらめずに面会交流を求めたという事実自体が子どもが親の離婚を乗り越えるにあたって大きな後押しとなることもあり得ます。

一人で立ち向かおうとせず、専門家の力も借りながら、子どもが置いてけぼりにされない状況を目指していただきたいと思います。

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