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2023年07月04日(火)

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【毒親育ちの方へ】分籍手続きについて

 

毒親の方へ、「分籍手続き」について解説いたします。

 

 

分籍については、ほとんどのクライアント様が悩んでいらっしゃるようで、弊所の法律相談ではよく話題になる論点です。

 

 

【分籍とは?】

 

私たちは、基本的には、結婚(法律婚)をしていない場合、親と一緒の戸籍に入っています。

 

分籍とは、その親と一緒の戸籍から抜けて、自分だけの戸籍を作ることを言います。

 

 

 

 

【分籍の効果】

 

法的な効果はありません。

 

分籍をすることによって、親と絶縁できるとか、親との間の親子関係がなくなるということは一切ありません。

 

また、住民票の閲覧制限とはまったく別の手続きですので、分籍をしたことで、親に住民票を取得される恐れがなくなる、といったことはまったくありません。

 

したがって、親に住民票を取得されたくない、住所を知られたくないという場合には、分籍をするかしないかにかかわらず、住民票の閲覧制限をかける必要があります。

 

 

 

 

【分籍の方法】

 

分籍届という届を役所に提出する形で行います。

分籍届のフォーマットは、役所のホームページにおいて入手可能です。

 

分籍届は、本籍地または所在地、あるいは新しい本籍地の区市役所・町村役場に届出をするので、提出する先の役所のホームページで入手すると良いかと思います。

そちらに必要事項を記入して、戸籍謄本と一緒に提出します。

 

郵送で提出する場合は、身分証明書の写しも同封するととてもスムーズです。

 

 

 

【毒親育ちが分籍する場合の注意点】

 

 

毒親育ちが分籍する場合、親に住所を知られたくない、という方がほとんどかと思います。

 

この場合、絶対に注意してほしいのが、新しい本籍地を新しい住所地の近くにしない、ということです。

 

戸籍謄本はたまにではあるものの、必要となる場面があり、その時に住まいの近くの方が便利だからという理由で、本籍地を住所地と同じ場所や住所地の近くにされる方がいらっしゃいます。

 

親族から住所を推知されても構わないのであれば、本籍地と住所地を同じ場所や近接した場所にしても構わないのですが、

住所地を親族に推知されたくないのであれば、本籍地は、住所地からはまったく予想できないような遠くにした方が良いでしょう。

 

また、親と同じ戸籍から分籍する場合、分籍後最初の本籍地は、親の戸籍謄本に記載されます。あなたが除籍して、新本籍はこちらです、ということが、親の戸籍謄本に残ります。

 

そのため、分籍後最初の本籍地を住所地の近くにしてしまうと、すぐに親から住所を追跡される恐れがあります。

 

 

 

【分籍についてよくあるご相談】

 

①分籍のデメリットはあるのでしょうか?

 

←デメリットと言えるかはわかりませんが、二度と戻ることはできませんので、その前提で手続きを行いましょう。

 

あとは、自分に万一のことがあったときに、親族が相続のために自分の戸籍謄本を取り寄せる作業が煩雑になる可能性があるため、子どもや配偶者等には、自分が過去に分籍していることを伝えておくとよいかもしれません。

 

 

 

②戸籍の閲覧制限はできるのでしょうか?

 

←弊所にご相談にいらっしゃる方々は、本籍地さえ親に知られたくないという方がほとんどですが、戸籍の閲覧制限という制度はありません。

 

戸籍謄本は、日本においては、相続手続等の要であるため、閲覧制限をかけてしまうとそういった手続を円滑に進めることができなくなってしまうことや、

本籍地自体は、住所地と異なり、そこに本人がいるというわけでは必ずしもないため、プライバシーとして保護する必要性が住所地ほど高くないと考えられることによります。

基本的に親であれば、子どもの戸籍謄本を取得することは容易であり、それは、分籍をしても同じです。

分籍をすることによって、親が戸籍謄本を見られなくなるわけではないので、ご注意ください。

 

 

 

③分籍のメリットは何でしょうか。

 

←上述のとおり、分籍をしても、親が戸籍謄本を取得することはできますし、そして、親が自分の新しい本籍地を知ることができます。

 

そうすると、分籍のメリットは何でしょうか?というご質問をよく受けます。

 

結論から申し上げると、気持ちの問題だけ、ただ、気持ちの問題が毒親育ちにとっては前に進むために重要であることも多いため、じっくり検討してみましょう、

といつもアドバイスしています。

 

分籍をしないと、親が筆頭者の戸籍にいつまでも記載されることになります。

 

本当に気持ちの問題ですが、弊所にご相談に来られる方が分籍を決意する理由として多いのは、以下のような内容です。

 

・親が筆頭者でその下に子どもが記載されているため、親に従属しているかのような印象を受ける、その従属関係から脱したいから分籍することは自分にとって意味がある。

 

・親と同じ戸籍に入った状態から法律婚をすると、配偶者の名前が、親の戸籍にそのまま記載されることになる。親がすぐに配偶者の名前を知ることになってしまうし、戸籍を見るたびに、親が配偶者に憎悪を向けることになるが、それは避けたい。だから、自分は分籍をしてから、配偶者と新しい戸籍を作りたい。

 

・親は、事あるごとに、「家」とか、家で代々守られてきた財産を盾に自分を縛ろうとしてきた。もうこの「家」の一員ではない、財産なんてものに自分は縛られないんだ、という決意を表明するとともに、自分も、精神的に親から自立して何があっても頼らない覚悟で生きていきたい。そのために分籍をしてけじめをつけたい。

 

これらは、毒親育ちの方であれば、多いに共感する内容ではないでしょうか。

 

ちなみに、私は、以下のような理由で、過去に分籍しています。

過去や家との決別をし、親には二度と経済的にも心情的にも頼らない・自分の足で未来を切り開く決意、そして、精神的に親が不在の状況であっても強く生きていくという覚悟をもって分籍したことを覚えています。

 

実利的なメリットはないかもしれませんが、毒親育ちにとって、心情的な意味合いは、決して軽視できるものではありません。

 

自分にとって意味のあることと感じるのであれば、分籍を検討されてもよいかと思います。

 

 

④分籍後、さらに転籍をした方が良いのでしょうか?

 

←これは必ずしも転籍をした方がよいとは言えません。

とても重要な点なのですが、たとえ何回転籍をしたところで、親が子どもの戸籍謄本を取得することは可能だからです。

 

そのため、転籍することや転籍する回数自体に、大きな意味はありません。

 

もっとも、転籍を何度かすることにより、親が戸籍謄本を取得しようとしたときに手間がかかることは確かです。何度も転籍していれば、途中で面倒になって諦める親も中にはいるかもしれません。

 

そのため、親から少しでも本籍地を知られるリスクを低減したいといったお気持ちが有る場合は、転籍をしても良いかと思います。

 

ただし、転籍を繰り返すと、自分に万一のことがあった際に残された親族が戸籍謄本を収集するときに煩雑となりますので、自分の子どもや配偶者に対しては、転籍したことを伝えておいた方がよいかと思います。

 

 

⑤分籍をすると、親に知られるのでしょうか?

 

←まず、あなたが分籍届を提出したことについて、受理した役所から戸籍の筆頭者である親に連絡がいく、等といったことはありません。

 

分籍は、あなただけの意思で行うことができる手続きであり、親の同意等は不要だからです。

 

もっとも、親が何等かのきっかけに戸籍謄本を取得すれば、親の戸籍に、あなたが除籍したということが記載されるので、親はあなたの分籍の事実を知ることになります。

 

支配的な親や過干渉な親であれば、分籍の事実を知れば、黙っているとは思えません。実際、分籍をきっかけに、親とのトラブルが拡大している方もいらっしゃいます。

 

そのため、弊所では、分籍するタイミングについても、安全に親と距離をおくことに成功してから行う等、アドバイスをさせていただいております。

 

分籍すべきか否かということはもちろん、タイミングや段取りについて悩んでいらっしゃる方は、ぜひご相談いただければと思います。

 

 

 

以上、分籍手続きについてでした。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

一人でも多くの方が、自分の人生を歩めるよう、心より祈っております。

 

 

 

 

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