2018年04月25日(水)
- コラム
- 離婚事件
2号:相手が悪意の遺棄をしたとき
悪意とは?
悪意とは,夫婦関係を積極的に破壊する意思をもっていることを言います。
遺棄とは?
遺棄とは,夫婦の同居協力扶助義務に違反することを言います。
例えば,病気の妻を放置して家を出て,生活費も入れない等の場合です。
「悪意の遺棄」と別居
夫婦関係がこじれてどちらかが家を出た場合,家を出た方は,「悪意の遺棄」になるでしょうか。
答えはNo!です。家を出た段階で同居義務違反にはなりますが,生活費を入れていれば,別居開始が直ちに「悪意の遺棄」とは評価されないと考えられています。
では,生活費(法律上は「婚姻費用」と言います。詳細はこちら)はいくら入れればいいのでしょうか。
算定表相当額を入れていけば,まず,「悪意の遺棄」とまでは評価されにくいものと思われます。
算定表とは?
夫婦は,別居した場合であっても,相互に扶養義務がある(民法752条の同居協力扶助義務に基づく)ため,収入の多い方は少ない方に対し,生活費を渡さなければなりません。その生活費のことを法律上,「婚姻費用」といいます。この「婚姻費用」については,計算式があるが,簡易迅速に計算ができるよう「算定表」というものが作られ,現在の裁判所実務では,「算定表」を基準に,婚姻費用の金額を決めています。