2018年04月25日(水)
- コラム
- 離婚事件
5号:その他婚姻を継続し難い事由
破たん主義と有責主義
日本の離婚法は,「破たん主義」をとっています。これは,婚姻関係が破たんしている場合,離婚を認めるべきという考え方です。これと比較されるのが,「有責主義」=相手に責任がある場合,離婚を認めるべきという考え方です。
日本の離婚法は,4号の精神病離婚を認めていることから,「破たん主義」をとっているとされます(精神病は,本人の責任ではないため)。
5号は,まさに「破たん主義」のあらわれです。1号~4号以外でも婚姻関係が破たんしていて,離婚を認めて然るべきというケースがあるため,そのようなケースに対応するための規定であり,1号~4号は,「婚姻を継続し難い事由」の例示ということになります。
具体的に破たんが認められる場合とは?
それでは,具体的にはどういう場合に認めてくれるのでしょうか。
裁判所実務においては,①主観的要件と②客観的要件の両面を考慮されます。
(1)主観的要件
双方が離婚を希望ないしは了承している場合,双方に婚姻を継続する意思がないので,もはやその婚姻関係を保護する理由がなく,離婚できることになります。
双方離婚したいけれども,親権や財産について合意できず,裁判をするというケースが典型的です。
(2)客観的要件
別居期間,DV,子どもへの虐待,モラハラ等の不法行為等の事情を総合的に考慮する。特にポイントとなるのは,別居期間です。婚姻期間にもよりますが,別居期間が3年~5年程度あれば,現在の裁判所は離婚を認めてくれる可能性が高いといわれています。
ただし,有責性が高い方からの離婚請求の場合,破たんを認めるためにはより長期の別居期間が必要となることがあります。
結局は,総合判断といえるでしょう。