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2018年04月25日(水)

  • コラム
  • 離婚事件

離婚と子ども

(1)親権

親権は、民法819条1項及び2項に規定されており、子についての身上監護権(簡単に言えば身の回りの世話をする権限)と財産管理権(子どもの財産を管理する権限)が含まれています。親権は親の権利ではありますが、弊事務所で取り扱っているケースにもあるとおり、虐待や不適切な養育(アダルトチルドレン・毒親問題が生じるような状況)も多いため、民法820条では、あくまでも「子の利益のために」行使されるべき権利であることが明記されています。離婚の際は、どうしてもご自身のことで頭がいっぱいになり、お子様に目を向ける余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。それは親も人ですから仕方ない面もありますが、子どもにとって両親の離婚はそれだけでとても傷つくものですし、その後の人生にも大きな影響が生じる問題です。そのため、お子様の状態や気持ちにも配慮しながら離婚条件を決めていくことはとても重要なことです。弊事務所では、子どもの問題を多く扱っている経験を踏まえ、そういった点からのアドバイスもさせていただきます。

なお、親権は、離婚に際して取り決めるべき事項のうち、必ず取決めをしなければならない条件です。離婚届に記載する欄があり、日本では共同親権の制度はないため、親権の欄について記載がない場合、離婚届は受理されません。

 また、親権となりますと、当事者間で話がつかない場合、裁判所の判断基準も気になるところでしょう。究極的には個々のケースにおける総合判断ですが、裁判所が判断する際には、主として父母側の事情と、子ども側の事情を確認します。父母側の事情としては、監護に対する意欲、年齢、心身の健康状態、時間的余裕、経済力、生活環境、監護補助者(子どもの面倒を見ることについて協力してくれる人、たとえば祖父母など)の協力の有無、監護補助者の生活状況などがあります。子ども側の事情としては、年齢、性別、子の意思、心身の発育状況、兄弟姉妹の関係、環境の変化による影響などがあります。他に、裁判所が重要視する点としては、継続性の原則(なるべく子の監護状況は変えない方が子どもにとってもよい)、兄弟姉妹不分離の原則、母性優先の原則、フレンドリーペアレントルール(面会交流を許容しているか否か)等があります。

日本の裁判所ではまだまだ母性優先の原則が乳幼児については大きく、父親が親権をとるのは難しい傾向にあります。子ども本人の意思は、10歳くらいから尊重され、15歳以上の子については、子の意見聴取はマストとされています(人事訴訟法32条4項)。

このように様々な事情を考慮して判断される親権ですので、親権を取ることを主張していく場合には、これら事情について、具体的な事実を証拠資料とともに裁判所に対して説明していく必要が不可欠です。そういった点で弁護士が力になれる点は大きいといえるでしょう。

(2)養育費

上記の通り、お金の問題ですが、民法上は子どもの権利とされていますので、子どもに関する問題ともいえます。

(3)面会交流

面会交流は、民法766条1項で規定されている「父又は母と子との面会及びその他の交流」
に根拠があります。文字通り、親の側から見れば、離婚してからも自分が一緒に生活していない子(=監護していない子)と会うことができる権利です。そして、子どもの側から見れば、両親が離婚してからも、一緒に生活していない方の親と定期的に会うことができる権利といえます。養育費と同様、「子の利益を最も優先して考慮すべき」とされています。

日本では裁判所が認めるのは、月1回が原則です。ただし、離婚する両親が合意できれば、それ以上の頻度で決めることはまったく問題がありませんので、子どもの気持ちを第一に考えた結果、長期休みに宿泊を伴う面会交流をすることで合意したり、子どもの行事にはきちんと二人で参加することで合意したりする等、柔軟な取決めをするに至るケースもあります。

なお、養育費をもらったら、面会交流をさせないといけないのかというご相談をよく受けますが、法律上は、養育費と面会交流は別物です。ただし、やはり養育費を払う側からしたら、定期的に子どもの成長を見られるからこそ、払いたいという気持ちになるというものではあります。また、養育費と同様、子どもの権利ですから、子どもにとってどうするのが一番よいという視点から考える必要があるでしょう。

◆離婚と子ども

親の離婚が子どもに与える影響は、様々に語られていますが、まず何よりも、子どもは両親の離婚によってとても混乱し、傷つき、そして人生に多大な影響を被るということがいえます。これまで両親の離婚による子どもへの影響は見過ごされがちでしたが、昨今、日本において離婚が増えている状況も踏まえ、平成25年1月1日から「家事事件手続法」という新しい法律が施行され、子どもの利益により配慮していこうという法のたてつけになりました。子どもに関する事柄については、それぞれの項目でご案内したとおり、「子の利益」に配慮するべきと民法において規定されています(親権について民法820条、養育費及び面会交流について民法766条1項ただし書き)が、これらの規定も同時期に改正されてできたものです。日本社会において離婚が増えているということは、それだけ両親の離婚という現実に直面している子どもが増えているということも意味していますから、これらの動きは子どもにとって画期的なものといえるでしょう。

 特に子どもにとって画期的といえるのは、両親の離婚調停に際して、子どもが親の離婚調停の手続に参加でき、その子どもが自らのために弁護士を選任できるようになったことです。子どもは一人だけでは自分の考えを整理することができなかったり、親への遠慮もあり、十分に自分の意見を表明できなかったりすることも多いでしょう。しかも、両親の離婚に関わる法制度についての知識を得ることも一人では難しい状況にあります。そのうな状況において、子どもが自らのために弁護士を選任できる「子どもの手続代理人」制度の新設は、今後離婚に際して子どもの利益をより尊重できる社会への第一歩といえるのではないでしょうか。時には離婚を希望している親にとって、頭や心が痛むようなことを子どもから言われるかもしれません。しかし、両親が離婚するとき、子ども自身もその傷つきから自らを守ることに必死です。そのような大変な時期にこそ、自分の気持ちや考えをきちんと整理できた、親に伝えることができた、そして自分の気持ちや考えを受けとめてもらえたという実感や経験は、間違いなくその子が成長していく際にプラスにはたらくでしょう。

 まだまだ実際の運用例は少ない状況なので、今後どう運用されていくのかが興味深いところです。

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