2018年04月25日(水)
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その他男女問題
★内縁
内縁とは?
内縁とは、男女が婚姻の意思をもって共同生活を営み、社会的には夫婦と認められる実態を有しているにも関わらず、婚姻届がなされていないために法律上の夫婦とは認められない関係を言います。
したがって、
・婚姻意思を欠く男女の共同生活(同棲)
・婚姻意思はあっても共同生活がない婚姻予約
などは内縁とは区別されます。
成立要件
内縁の成立要件は、以下の①②です。
①夫婦共同生活と認められるような関係を成立させようとする合意
…社会的・実質的に夫婦になろうとする意思であれば足り、結婚式などの特別な形式は必要ではないとするのが判例です。
②その合意に基づく共同生活
…一般的には同居が一定期間継続していることで証明されますが、同居期間が短くても、結婚式を挙げているなど夫婦共同生活の存在を示す事情が存在する場合などにも認められる場合があります。
法律上の婚姻との違い
内縁の夫婦は、法律上の夫婦とほぼ同様の権利義務を持ちます。したがって、同居・扶養の義務や婚姻費用の分担が認められ、もし内縁関係を解消した場合には、財産分与や慰謝料請求も認められます。
子どもがいる場合は、認知をしてもらった上で養育費も請求することができます。
法律上の婚姻との大きな違いは、内縁の一方当事者が死亡した場合、生存する内縁配偶者の相続権が認められないということです。ただし、遺言書を作成するなどしてこの手当をすることは可能です。
内縁を不当破棄された場合
内縁の法的性質は準婚関係と理解されていますので、内縁解消の正当理由も裁判上の離婚原因に該当する行為や事実と同様に考えられます。
内縁は合意により解消することもできますが、一方的に解消することができます。しかし、内縁の正当事由がない場合には、不当に破棄した内縁配偶者に対し、損害賠償請求ができる場合があります。
★デートDV
デートDVとは?
デートDVとは、交際相手からの暴力被害のことを言います。
暴力被害とは、殴る・蹴るなど身体に対する暴力だけではなく、交際相手に他の異性との関わりを禁じる命令したり、交際相手の携帯電話の着信履歴やメールをチェックしたり交友関係や行動を監視したりするなど、相手の気持ちを考えずに自分の思いどおりに支配したり束縛したりしようとする態度や行動も含みます。
対処法は?
DV被害に遭っている場合、自分自身に非があると思い込んで(思い込まされて)我慢してしまったり、世間体を気にされて内々に済ませようと考えてしまったりすることもあるかもしれません。しかし、デートDVもエスカレートすると、ストーカー行為や暴行・傷害につながり、身体生命に危険が及ぶ可能性もあります。
デートDVの被害を受けたときは、自分を責めたり、一人で解決しようとしたりしようとせず、まずはご相談ください。
同居している交際相手からの暴力については、「配偶者暴力防止法」が適用されますので、交際相手と同居している場合なども、「一時保護」や「保護命令」などの支援を受けることができることがあります。
★執拗な連絡、つきまとい、ストーカー被害等
つきまとい行為とは?
つきまとい行為の定義については、ストーカー行為の処罰等が定められた「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の第2条第1項に定められています。
これによると、「つきまとい等」とは特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又は配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の行為を行うことです(同条第1項)。
(1) つきまとい・待ち伏せ等をして、住居、勤務先、学校等の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること
(2) 監視していると告げる行為等
(3) 面会・交際・義務のないことの要求等
(4) 乱暴な言動等
(5) 無言電話、拒まれたにも関わらず連続して電話・FAX・メールをすること
(6) 汚物などの送付等
(7) 名誉を害する事項を告げる行為等
(8) 性的羞恥心を害する事項を告げること等
ストーカー行為とは?
「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うことです(第2条第2項)。
対応策は?
第3条には、「何人も、つきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。」と定められています。
では、それにもかかわらず、「つきまとい」や「ストーカー行為」に当たる行為の被害に遭ってしまった場合はどのような対策があるでしょうか。
(1)警告・禁止命令を出してもらう
警察は、つきまとい行為をする者に対し、「警告」(第4条)「禁止命令等」(第5条)をすることができます。
また、警察本部長等は、警告を求める旨の申し出を受けた場合、つきまとい等の行為者に対し、更に反復してつきまとい等を行ってはならない旨を警告することができ(第4条)、都道府県公安委員会は、警告を受けた者が警告に従わず、更につきまとい等を行った場合において、行為者が更に反復してつきまとい等を行うおそれがあると認めるときは、更に反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発することができます(第5条)。
(2)処罰を求める
ストーカー行為をした者については、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者や禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が、そのほか、禁止命令等に違反した者には50万円以下の罰金が定められています。
(3)警察に援助を求める
これとはまた別に、警察本部長等は、ストーカー行為等を受けている人から援助を受けたい旨の申し出があれば、自衛策の教示など必要な援助を行うこととなっています(第7条)。
警視庁及び各道府県の警察本部では、「犯罪被害者の相談窓口」及び「警察総合相談電話」を設けて、被害者の相談に応じていますので、つきまとい行為やストーカー行為であると思われる行為を受けているということがあれば、まずは最寄りの警察に相談の上、身の安全を守りつつ対応策を考えていくというのが最善です。
もっとも、つきまとい行為やストーカー行為の被害に遭っている場合、自分自身に非があると思い込んでしまったり恥ずかしいことだと感じてしまったりしてそれを簡単に他人に話せないということもあるでしょうし、仮に親しい人には話せたとしてもいきなり警察に言って大事にすることは避けたいと思われて警察への相談になかなか辿り着かないということもあるでしょう。
そのような場合には、警察署への同行を含め、今後の対応について、まずは弁護士にご相談ください。
リベンジポルノ
リベンジポルノとは?
リベンジポルノとは、復讐や嫌がらせ目的で元交際相手等の性的な写真や動画をインターネット上に公開する行為のことを指します。
これを防ぐことを目的として、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」が成立し、施行されました。
対処の方法は?
(1)画像の削除
インターネットで公表されてしまった画像等は、プロバイダー等を通じて削除要請をすることができます。
拡散防止のためには公表された画像等を早急に削除することが重要ですので、出来る限り早くご相談ください。
(2)処罰を求める
「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」第3条には、「公表罪」(同条第1項及び第2項)「公表目的提供罪」(同条第3項)が定められています(公表罪は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、公表目的提供罪は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金)。
これらについては、親告罪(第3条第4項)になりますので、告訴(警察などの捜査機関に犯罪事実の申告をすること)が必要になります。