2022年10月18日(火)
- 親子問題
- 解決事例
【毒親解決事例】自分の葬儀に親がかかわらないようにするために
自分に万一のことがあった時、自分の葬儀や死後の手続きに親がかかわることを阻止したい、
という希望を持っている方たちがいらっしゃいます。
そのようなケースで、どのような解決策があるか、今回はご紹介します。
【ご相談内容】
これまで親から過干渉を受けてきた。
家族関係のこともあり、自分は事実婚を選択している状況。
親は、自分の事実婚のことを認めておらず、
今は、距離をおくことができていて実害はないものの、
自分に万一のことがあったとき、
葬儀や死後の手続きにかんして出しゃばってくるのではないか、と不安である。
遺言でカバーできるなら遺言に盛り込みたいが、
もし遺言に盛り込むことができない場合、
葬儀や死後の手続きにかんする場面で、
パートナーと親がもめることとなるのではないか、と心配している。
何か方法はないだろうか。
【アドバイスとご依頼後】
死後事務委任契約の締結をすることをご提案し、
その内容でご依頼をいただきました。
遺言は、多くの方が知っていらっしゃいますが、死後事務委任契約はまだまだ知られていないように思います。
死後事務委任契約というのは、本人が亡くなった後、
・通夜、告別式、火葬などの葬儀や埋葬
・家財道具や身の回りの生活用品の処分
・医療費等の支払い
・公共料金の支払いや税金の支払い
・デジタル遺品(パソコンやスマホ等、そこに保存された写真や画像のデータ、ネット上で契約したサービスの情報やデータ等)の整理や消去
等といった事務手続きを、特定の人に委任する契約です。
この契約を締結しておくことで、死後の事務手続きを、自分の望まない誰かに処理されるリスクをなくすことができます。
上記の手続きに列挙した内容は、いずれも自分のプライバシーにかかわる内容だとお感じになった方も多いと思います。
死期を悟って準備ができれば、プライバシーにかかわるものをあらかじめ消去したりといったことができるかもしれませんが、人の死というのは、残念ですが、準備もできないまま、突如迎えてしまうことの方が多いです。
そのようなときに、死後であっても、親から自分のプライバシーに立ち入られることを想像すると、機能不全家庭で育った人にとっては、精神的苦痛が大きいのではないかと思います。
そこで、そのような事態を防ぐべく、死後事務委任契約を締結することをご提案いたしました。
なお、死後事務委任契約は、公正証書で作成し、証拠力を万全にしておくことが重要です。
なぜなら、このようなケースで死後事務委任契約を締結した場合、死後事務委任があっても、なお、親とパートナーとの間でもめる可能性もありますので、もめたときに証拠としての価値が強いに越したことがないからです。
その点も説明し、弁護士において契約書案を作成、公証役場との文案や日程調整等も行い、最終的に公正証書を作成しました。
【分析とコメント】
死後事務委任契約自体は、ご自身で作成の上公証役場へ持参したり、行政書士さんに依頼したりすることもできると思いますが、
自分亡き後に親とパートナーとがもめることを心配されているのであれば、弁護士に依頼することをお勧めいたします。
まず、死後事務委任契約自体、当事者間に合意がある限り、法律に反しない内容であれば、自由な内容を盛り込むことができます。それらを契約書の形に落とし込む際、弁護士であれば、将来の紛争を意識した文言や条項を作成することができます。
加えて、パートナーの方にも同席いただき、弁護士とパートナーの方とが面識をもっておくことで、親とパートナーがもめてしまった場合に、スムーズにパートナーの方から弁護士がご依頼を受け、親との間の紛争解決にあたることも可能となります。
機能不全家庭で育った方が親との関係に悩んでいる場面では、必ずといっていいほど、パートナーの方も影響を受けますし、紛争の当事者になることも多いです。その点については、こちらの記事で書いています。
そのため、パートナーの方においても、相手の親と対峙することとなってしまったとき、相談したり場合によっては依頼する先を確保しておくことは、将来への安心につながるはずです。
パートナーの方に安心していただくためにも、機能不全家庭で育った方が死後事務委任契約を検討している際には、ぜひ弁護士への依頼を候補にしていただきたいと考えています。
※弊所の解決事例は、基本的にこれまでの色々なケースを組み合わせた事例ですので、特定の方のケースということはございません。また、特定の方のケースに大部分依拠する場合、必ずご本人の了承を得ております。弊所にご相談あるいはご依頼いただいたからといって、そのご事情が外に漏れることは決してございませんので、安心してご相談くださいませ。