2022年10月04日(火)
- 親子問題
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【毒親解決事例】内容証明による警告:母子家庭・過干渉のケース
弊所では、受忍限度を超えたつきまとい行為や嫌がらせ行為を自分の両親から受けている方々からのご相談とご依頼がたくさんございます。
家庭内での問題は家庭内で解決すべきという風潮がまだまだ強いかもしれません。もちろん、自分たちで解決できればそれに越したことはないでしょう。しかし、それでは、問題を家庭内で解決できない場合、より重大な事態へ発展してしまうリスクがあることは、家庭内暴力や児童虐待、さらには親族間の傷害事件や殺人事件のを事例を見れば一目瞭然です。
そのため、弊所では、このようなお悩みを抱えている方々に対して、現状の法制度の中で可能な限りではございますが、積極的に法的サービスを提供することとしています。
現状、このような方々に対して弊所でご提案できるのは、弁護士から内容証明郵便を送り、ご依頼者様の意思をきちんと表明し、つきまとい行為や嫌がらせ行為をやめてほしい旨をはっきりと伝え、やめてもらえない場合には法的措置をとる旨の警告をするという手段です。
今回は、母子家庭で育ち、母からの過干渉に悩まされてきた方のケースをご紹介をいたします。
【ご相談内容】
小さいころから精神的虐待を受けてきた30代女性。ご家族は、夫と子どもが一人。
両親は小さいころに離婚し、母ひとり子ひとりの家庭で育った。
母に感謝はしているが、度重なるお金の無心やこちらの都合を顧みずにメールや電話を繰り返し、あげくの果てに夫の勤務先にまで連絡をしたため、どうしたらよいかわからず、ご相談にいらっしゃいました。
なお、母の嫌がらせにより、体調不良になり、おさまっていたパニック障害の症状が再発。担当の医師は、ご相談者の訴えに理解があるケース。母に感謝している気持ちと、母に対する怒りとの間で苦しんでいらっしゃいました。
【弁護士からのアドバイス】
ご本人の了解をとった上で、ご本人が認識している親子関係について尋ねたところ、母から連絡がくるたびに、幼いころからの精神的虐待がフラッシュバックし、不調になる上に、母に自分の意向をうまく伝えることができない状況であることがわかりました。
また、ご本人から、母に対し、一応はご自身の意思を伝えているものの、母が従前の子ども時代と同様、ご本人を自分より下にみているがゆえに、まったくご本人の意思が伝わっていない様子であることもわかりました。
ご本人は、夫や子どもに迷惑をかけているのではないかと悩み、ご自分の家族を守るため、きちんと解決することを希望されていました。
ご本人の健康や、平穏な生活を守るためには、母に迷惑行為をやめてもらうことが必要不可欠と判断し、方法としては内容証明郵便による警告という手段をご提案しました。
また、併せて、母からの連絡内容と頻度が尋常ではなく、ご本人が恐怖心を抱いてもおかしくないレベルでしたので、警察の生活安全課へのご相談についてもアドバイスしました。
【ご依頼後】
そして、ご本人の希望により、また、夫からの後押しもあり、弁護士からの内容証明郵便による警告を実施することになりました。
ご本人の要望として、また、弁護士の考えとしても、なぜご本人をそっとしておいてほしいのか、干渉してきてほしくないのかという点について、弁護士の言葉だけではなく、ご本人の言葉でも伝える必要のあるケースと判断したため、弁護士のサポートの元、ご本人は自分の気持ちを「陳述書」として文章にまとめてみました。
併せて、ご本人の状態について担当医が理解のあるケースでしたので、診断書を取得してもらいました。
そして、その内容を織り込んだ警告文を内容証明郵便で送りました。
内容証明郵便を送ることは、それ自体がとても負荷のかかることですので、弁護士においては、ご本人のかかりつけ医の意見等を踏まえて送る時期も慎重に判断しながら、ご本人や夫とも十分に相談の上、送る時期を決めました。
また、ご本人が相談している警察官にも内容証明を送るタイミングで連絡を入れ、万全を期しました。
結果、相手方からの連絡はやみ、それにより、ご本人は夫や子どもとともに平穏な生活に戻ることができたという知らせを年賀状でいただきました。
【分析とコメント】
この類型のケースでは特に、内容証明を送ることは、一時的にはかえって相手方を刺激する可能性もありますし、ご本人の覚悟や体調が整っていない場合は、様子を見た方がいい場合もあります。
また、最近はかなり協力的になってきていて助かっていますが、警察との連携が必ずしもうまくいくとは限りませんので、身の安全を図りながら、警告を実施するという点は、大きな課題です。
文面も悩みどころです。ご本人の希望と弁護士として最低限盛り込みたい内容だけではなく、ご本人のお気持ちや相手方の心理状態等を、探り検証しながら、最大の効果をあげられるよう最適な内容としていく必要があります。また、ご本人がどれだけ希望されても、内容証明には盛り込めない内容もありますが、そのご希望やお気持ちに応えられる方法がないか探る必要もあります。
直近の相手方の行為を一つひとつ法律にあてはめて、どういう問題があるのかについて丁寧に分析することも不可欠です。
理解のある担当医からの診断書がとれたのもラッキーでした。
親子問題については、決定的な解決策がないことの方が多いため、結果も大切ですが、それ以上にプロセスが大切です。ご本人が感じていることや心配していることを話してもそれを批判されたりすることが絶対にないという安心できる環境の下、ご本人の心のペースに合わせながら解決へ導いていくことがポイントです。それがあってこそ初めて、弁護士に依頼した件が終わった後の人生も、前向きに歩んでいくことができます。このケースでも、ご本人との間ではかなりの信頼関係を築くことができ、事実関係はもちろん、正直な気持ちをたくさんお聞かせいただきました。そのおかげで、目的をかなえることができました。
内容証明の具体的内容については、こちらの記事が詳しいです。
また、こちらでは、実際に送った方々の声もご紹介しています。
ご参照くださいませ。
※弊所の解決事例は、基本的にこれまでの色々なケースを組み合わせた事例ですので、特定の方のケースということはございません。また、特定の方のケースに大部分依拠する場合、必ずご本人の了承を得ております。弊所にご相談あるいはご依頼いただいたからといって、そのご事情が外に漏れることは決してございませんので、安心してご相談くださいませ。