2021年10月21日(木)
- 親子問題
- 親子問題コラム
毒親に送る内容証明の中身
毒親に送る内容証明にはどのようなことを盛り込むことになるのか、最初はイメージがわかないかと思いますので、以下ご説明していきます。
●内容証明郵便とは?●
内容証明郵便自体は、郵便の種類の一つです。
内容証明 | 日本郵便株式会社 (japanpost.jp)
日本郵便株式会社のサイトにあるとおり、
「一般書留郵便物の内容文書について証明するサービス」で、
「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度」です。
したがって、内容証明自体は、何か法的な効力があるものではありません。
内容証明を送ってそれに違反した場合、相手は罰せられますか?といった趣旨のご質問をよくいただくことがありますが、
内容証明にそのような法的な効力はないということです。
あくまでも、こちらの意思表示の手段であり、意思表示をきちんとしたことが証明できる手段ということです。
そうすると、送るメリットがあまり感じられないかもしれませんが、実際には一般的に法的紛争の解決の入り口としては極めて有効な手段ですし、特に親子問題においては、効果をあげています。詳細はこちらをご参照ください。
●内容証明にはどのようなことを盛り込むのか?●
では、実際に親に対する内容証明を作成する際、どのような内容を盛り込むのか、ご説明いたします。
内容証明を出す必要性がある事案では、現に受忍限度(我慢できる範囲)を超えた嫌がらせ行為やつきまとい行為があるケースや、親から法的根拠のない金銭要求や法的義務のないことを要求されているケースがほとんどです。
それらが原因で、クライアント様が心身の健康を害されたり、平穏な生活を安心して営むことができない状況に陥っているという状況があります。
したがって、そのような嫌がらせ行為やつきまとい行為をやめさせるということが第一の目的となります。そこで、まずは、やめてほしいことについて、要求を記載します。事案によってやめてほしいことの内容は変わってきますので、そこはクライアント様の意向をヒアリングした上で、そのクライアント様が求めている内容を記載していきます。
その上で、嫌がらせ行為やつきまとい行為を相手がやめてくれなければ意味がないため、万一やめない場合には、当方として相手方の対応いかんによって、民事訴訟の提起や、刑事告訴をしていく意思を明確に表明します。
弊所にご相談いただくような嫌がらせ行為やつきまとい行為は、すでに刑事事件になるようなケースや、民事訴訟を提起した場合勝訴しうるケースも多いです。内容証明でクライアント様の意思を明確にお伝えし、警告もしたにもかかわらず繰り返すようであれば、悪質といえますので、法的措置をとることができる可能性はさらにアップします。
この警告を入れることにより、現在受けている嫌がらせ行為やつきまとい行為をやめさせ、平穏な生活を取り戻すことが可能となります。
これらに加え、なぜ自分が親に対する信頼を失うに至ったのかという経緯を入れることも多いです。弊所のクライアント様にとって、親に内容証明を送ることは、ただの警告文書を送ることではありません。
ほとんどのクライアント様は、長年親と共依存の関係に悩まされてきましたし、共依存とはいえない場合であっても、どこかの段階で健全な愛着形成に難を生じ、親と別個独立した人格形成がうまくできていないことが多いです。決してそれはクライアント様が悪いわけではありません。そうしなければ、生きていけない状況でした。弊所のクライアント様はサバイバーですので、むしろ今まで頑張って生きてきたことを多いに誇るべきです。
しかし、これから自分の人生を自分の意思と責任をもってまっとうしていくにあたっては、共依存の関係から離れたり、心の中でしっかりと親と決別し、自分を成長させていく必要があります。
内容証明を送ることは、多くのクライアント様にとって、そのスタートとしてのけじめとなり、前に進むきっかけとなるものです。そのため、なぜ自分が内容証明を送ることとしたのかという点について、きちんと安全な方法で親に伝えることにより、自分の考えや意見を親に対して表明することは、クライアント様のその後の人生にとって大きな力となります。
さらに他には、クライアント様のご希望に応じて、現在親から金銭要求されている件についての意思表示や、将来の相続放棄の意思等を盛り込むこともございます。
クライアント様のご要望を踏まえて一件一件オーダーメイドで作成しますので、ご依頼いただいた折には、ご自身の要望について、遠慮なく弁護士にご相談いただきたいと思います。
●まとめ●
長くなりましたので、最後にまとめておきますと、以下のとおりです。
毒親に送る内容証明には、以下の内容を盛り込むことが多いです。
・嫌がらせ行為やつきまとい行為をやめてほしいという意思表示
・嫌がらせ行為やつきまとい行為をやめない場合は法的措置をとるという警告
・なぜ内容証明を送るに至ったのかという経緯(親に対する信頼を失うに至った経緯)
・金銭要求や法的義務のない要求を受けている場合、それについての意思表示(支払いの意思がないことや、要求に応じる意思がないことの表明)
・将来の相続放棄の意思表示
内容証明がどのようなものなのかについては何となくイメージがついたのではないでしょうか。
とはいえ、内容証明を送るにあたって、多くの迷いや葛藤があることと存じます。その点については、こちらの記事をご参照くださいませ。